250回目のお誕生日
2006年02月06日
「あ〜、やっぱりコジはたのしぃ〜っ」
終演後の舞台裏を訪ねたら、ドラベッラ役の林美智子さんが、うれしそうに、そう叫んでいた。
出演者がこれほど楽しんでいる舞台が、聴衆にとって楽しくないはずがない。
最高に幸せな心持ちになる公演だった。
モーツァルトの250回目のお誕生日の1月27日。
あれこれモーツァルト絡みのイベントはあったと思うのだけれど、私は昨年の早い段階から静岡音楽館AOI主催の「コジ・ファン・トゥッテ」に行くことに決めていた。
ここの数年、ここでは1月に、ピアノの名手と一流の歌手で、オペラのダイジェストの演奏会をやってきていた。これがなかなか面白い。
今年からは、音楽監督も変わり、どうなるのかな〜という楽しみもあったけれど、なんと言っても、キャストが魅力的。林さんの他テノールの望月哲也さんなど若手を中心のキャスティングに、アルフォンソ役はベテランの池田直樹さん。
これはぜひ行かねば〜、と思っていたわけ。
で、行ってみて、びっくり。
昨年までは、舞台にあったのはピアノ一台。
ところが、今年は舞台の上にアンティークの素敵な家具やチェンバロも並べられ、背景や段がしつらえられたりしている。それを見ているだけで、いかにもオペラが始まりますという期待が高まる。
登場した歌い手たちはちゃんと衣装を着て、メークもばっちり。
ピアノの演奏は、河原忠之さん。以前、二期会主催の福井敬さんと福島明也さんの福福コンサートのコンサートの時にも伴奏を務められた名手だ。
池田さんが、歌と歌の間を実に面白くつなぐ狂言回しを兼ねて、美しいアリアや重唱が次々に歌われる。確かにダイジェストだけれど、これはまさに立派なオペラ公演。実にとっても美し〜い!
指揮者もいないのに、重唱はとってもきれいで、さすが第一線の歌手たち。このホールは、かなり響いて、ちょっと気を許すと大衆浴場で歌っているみたいになってしまいそうなのだけれど、今日は幸いなことに、そういう歌い手は一人もおらず、みなさんホールの特性をつかんでのパフォーマンスだった。
この作品は、お話的にはドタバタ喜劇なのだけれど、みなさん演技もばっちり。特に、怪しげな医者に扮したデスピーナの”磁気療法”の場面では、望月フェランドと成田博之グリエルモの芝居があまりにおかしくて、思わず爆笑。
なんでも、セットは地元のアンティークの家具屋さんが協力したのだそう。
演目にもよるけれど、大がかりなセットが必要ではないこういうオペラは、工夫次第でどういう場所でも、すばらしい歌手さえそろえれば、本格的で楽しい演目にできることを証明したような公演。
それにしても、そういう作品を遺してくれたモーツァルトに改めて感謝感謝という感じだ。
逆に、それなりの舞台装置をそろえ、外国から指揮者も呼んで、フルオーケストラの演奏をさせたりしても、結構心が寒々してしまう演奏も(具体例は挙げないが、つい最近も)あったりするものね。
今回のコジは、規模は小さくても、見て、聞いて、本当にいい演奏で、大満足。聞けなかった人はお気の毒ね〜と思うくらい。
惜しむらくは、客の入り。2階席がかなり空いているのが気になった。
私や友人のM子のように、こういうイベントなら東京から駆けつけてしまう人もいるのだから、もっと広くPRをすればいいのに……
もったいない。
それに、たとえば東京の紀尾井ホールとか、大阪のいずみホールとか、小ぶりの、でも素敵なホールが協力し合って、この作品を何カ所かで演奏するようにすれば、作った装置も無駄にならず、お金も折半し合えば、一回あたり公演経費も安くなり、私たち観客にもうれしい、ということになるのでは?
工夫と協力――これで、日本のオペラはずいぶんと変わるような気がするのだけれど。
ところで、いつもは最終の新幹線で帰るのだけれど、今年はM子のお誕生祝いを静岡のI夫妻ともどもやろうということで、腰を据えて飲みかつ食べた。
本当に楽しい、ハッピィバースディ。
帰りは、快晴の中を新幹線で。
富士山がきれいで、モーツァルトとM子のMMバースデイを、祝ってくれているようで、私もとってもハッピ〜♪
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