米兵に捧げられる日本国民の血税
2006年04月25日
私は、特別な節税対策をやっていない。
税理士さんにも、ことある毎に「あとから不備を指摘されたりするようなことがないように」と言って、適切な申告を心がけている。
納税意欲が高すぎて、今年は所得税の還付を受けるのではなく、逆に追加で支払う事態になった。そのうえ、今年からは消費税を納めなければならない。その合計金額を聞かされた時、私は、気を失いそうになった。あ〜、私は税金を納めるために働いてきたのか!
税務署からは4月下旬の某日までに、あらかじめ届け出た銀行口座にその金額を入れておけ、という葉書が来た。そうやって国は取り立てに回る手間を省き、コンピュータの操作一つで、血税を召し上げる。
それでも、これも国民の義務だからと、黙って、そして早々に、言われた金額を口座に入金した。
しかし、今朝の新聞の一面トップにデカデカ載っていた写真を見て、私の納税意欲はいっぺんに吹き飛んだ。
大きく写っているのは、ラムズフェルド米国防長官と額賀福志郎防衛庁長官。二人とも笑っている。してやったりと、ニンマリ顔のラムズフェルド氏に対し、額賀長官の表情が卑屈な笑いに見えるのは、私の気のせいだろうか。
この二人は、在沖縄米海兵隊のグアム移転の費用について協議し、、総額102億7000万ドル(約1兆2100億円)のうち、全体の59%に当たる60億9000万ドル(約7100億円)を日本が負担することで合意した、という。
<日本側負担の内訳は“真水”となる国費からの直接負担が二十八億ドルで、海兵隊の家族住宅を建設する民間事業主体への政府出資の十五億ドルと合わせ、計四十三億ドルの予算措置が必要となる。国際協力銀行(JBIC)などを介した融資の十七億九千万ドルも日本の負担となる。
直接負担は、グアムでの海兵隊司令部庁舎や隊舎、学校などの建設に充当。出資や融資は家族住宅の建設などに充て、住宅の建設と管理を民間に委託する「パブリック・プライベート・パートナーシップ」(PPP)制度を活用する。五十年のローン方式で、海兵隊員の家賃などを元に返済させ、無利子とする方向。電力や上下水道などの整備も融資でまかなう。>(産経新聞より)
真水だか海水だか知らないが、とにかく私たちの血税が7100億円も、アメリカ軍の引っ越しに使われ、しかも引っ越し先の家や学校まで建ててやるのだそうだ。
米軍は、自国に有利で効率的な安全保障体制を整えるために、部隊を移動するだけの話。なのに、なんで日本の国民がお金を出さなければならないのだろうか。それも、ななせんひゃくおくえん(7100億円)も! 開発途上国ならともかく、自国の兵士のための住まいや学校を作るのは、アメリカ政府の役割ではないのか。
日本では、ホームレスが25、000人以上いる。耐震強度が偽装されたマンションを買わされた人たちは、ローンを抱えながら、新たな住まいの建て替えのために、新たな借金まで背負わされる。経済的な理由から、進学をあきらめる若者もいる。年間3万人を越える国民が自殺するが、経済的な問題を苦にしての自ら命を絶つ人も少なくない。アスベストが使われている校舎もたくさんあり、建て替えだって必要だろう。
私の友人のシングル・マザーA子が、春先のまだ寒い時期に、東京電力から送電を停められそうになった。とても優秀な女性なのだが、幼い子どもをいるうえ、彼女自身もやっかいな病気を抱えていて、フルタイムで働くことができない。私は、一時的に生活保護を受けて、療養に専念することを勧めたが、彼女はできるだけ役所の世話を受ける(=国民に面倒をみてもらう)ことはせずにがんばりたいと、まさに身を削るようにして、仕事に出ている。
米国の利益のために働いている米兵の家を建ててやるより、そういう健気にがんばっている、自国民に目を向けるのが、日本国政府の役割ではないか。
おまけに、今は財政難で、公務員の削減が喫緊の課題となっている。無駄を削るというだけなら結構だが、「聖域なき」という名目で、必要な部署の人数まで削り取られそうな事態になっている。私は、いったい誰のために、何のために、汗水流して働いたお金を納めるのだろう。
そのうえ、財務省はできるだけ早く消費税を増税したいらしい。同胞や自分の将来の生活のためであればともかく、米兵にゆったりした家を建ててやって、私たち日本国民は、ますます多額の税金に苦しむ、というのは、どうしても納得がいかない。
報道によれば、この合意を受けて、小泉首相は「たいへんよかった。米国も喜んでいる」と述べた。あなたはいったい、どこのリーダーか。
米側は最初75%を日本が負担することを要求したけれど、59%で収めたのだと、日本政府は自画自賛しているらしい。要求する側は、あらかじめディスカウントされる分を上乗せしているに決まっている。こんな”立ち退き料”を要求するなんて、あまりにもむちゃくちゃだ。
小泉さんは、国民に分かりやすく説明するように、指示したそうだ。ぜひとも、私にも分かるように説明をして欲しい。なぜ、私の税金で米兵に家や学校を建ててやらねばならないのか。そして、その経費の使い道に無駄はないのか。米兵に建ててやる家の図面やその経費についての見積もりなども、しっかり出していただきたい。
まさか、建設予定の米軍住宅が、A子の住んでいるアパートより、広くて快適、なんてことはないでしょうね。