今週のキーワード 5月25日

2007年05月28日

 5月25日に出演した「ソコダイジナトコ」では、「主体的」を「今週のキーワード」に選びました。

 

 日本政府の要人が、対米関係を語る時、ことさらにこの言葉が出てきます。
 今国会でイラク特措法の延長が審議されていた際、自衛隊派遣を延長する理由を問われた安倍首相は、次のように答えました。
「イラクの国づくりの努力を主体的に支援する必要がある。復興支援に腰を据えて取り組む姿勢を示し、航空自衛隊の輸送支援を継続的、安定的に続けるため」
 野党議員からの「対米追従だ」との批判には、「潘基文国連事務総長やイラクのマリキ首相から要請されている」と反論。「我が国の主体的判断により、2年延長することにした」と「主体性」を強調しました。
 自衛隊の撤退時期についても、「あらゆることを考慮に入れ、主体的に判断していく」(塩崎官房長官)と、やはり「主体性」が強く打ち出されました。
 さらに、アメリカ軍の再編に伴い、在日米軍の施設を受け入れた自治体に交付金を与え、在沖縄米海兵隊のグアム移転費用を提供するための方策を整えるための特別措置法に関する審議の時にも、安倍首相は「日本が主体的にグアム移転を進めていきたい」と述べています。
 けれども、現実はどうでしょう。イラクでの輸送任務についている航空自衛隊が運んでいるものの8割が米軍関係。しかも、何を運んでいるのかは、国民にまったく明らかにされていません。輸送は、戦争遂行にあたって重要な任務の一つです。私たちの自衛隊は、いつの間にか、なんの大義もないアメリカのイラクに対する侵略戦争に加担させられているのです。
 自衛隊派遣は、実際には米軍支援……というよりブッシュ政権支援が目的。少なくともブッシュ大統領の期間に、アメリカの意向を無視した「主体的」判断で撤退などできるはずがありません。
 米軍の再編では、日本が巨額の資金提供を求められています。すでに海兵隊のグアム移転では総費用の6割にあたる60億9000万ドル(約7369億円)を負担する「日米合意」ができています。ところが、その詳細がはっきりしないのです。いくつかの項目は出されていますが、なぜそれだけの金額が必要なのかという根拠がまったく示されていません。
 たとえば、米兵の家族用住宅。日本は25億5000万ドル(約3086億円)を提供することになっています。建てるのは3500戸ほど。土地は米政府が用意するようですから、建物だけで8800万円もする豪邸、ということになります。ところが、野党議員が質問の中で、すでにグアムにある米軍家族住宅は、一戸2000万円ほどで建てられていることが明らかにされました。しかし、積算根拠を問われても、安倍首相は「さらに詰めて参りたい」と言うばかり。
 私も防衛省に問い合わせをしてみました。やはり、金額の根拠になる資料や見積もりの類は「ありません」とのこと。重ねて「『存在しない』という意味で『ない』と言っているのですか。それとも、『公表できない』ということですか」と聞きました。しばらく待って出てきた回答は「存在しない」というものでした。
 本当に驚くべきことです。どんなお役所でも、建物を造る時には、資材や人件費などを見積もって、それで総工費を出すのではないでしょうか。なのに、そういう見積もり資料がまったくないなんて!
 防衛省側は、「この数字は、あくまで米国の見積もりを元に合意したもので……」と言うばかりです。
 その見積もりの根拠さえ手元にないということは、日本は何の根拠も示されないまま、アメリカの言い値で合意をしてしまった、ということに他なりません。
 ほかにも、司令部庁舎、教場、隊舎、さらには米兵の子供が通う学校などの生活関連施設に、総額28億ドル(約3388億円)を日本が支出するとされています。なぜ、アメリカ人の子供が通う学校を日本が建ててあげなければならないのでしょう。開発途上国の支援なら分かりますが、豊かな国家アメリカの子供の教育は、アメリカ政府が面倒を見るべきではないでしょうか。にも関わらず、そんな要求まで飲まされています。しかもこれも、金額の根拠はまったく明らかにされていません。
 防衛省は「(金額は)これから日本が主体的に精査していく」と言いますが、本来は合意の前に、そういうことは詰めておくのが当然ではないでしょうか。それに、この日米合意は昨年4月に前に行われているのです。1年もたって、まだ「これから」精査するだなんて、信じられません。つぎ込まれるお金は税金です。負担金額の一部は融資という形で50年間で回収する予定とのことですが、果たしてどれだけの金額が返済されるのか、何の保証もありません。
 そのうえ、アメリカ側はグアム移転以外の費用についても、多額の負担を日本側に求めています。その負担額を、米高官が260億ドル(約3兆1460億円)と述べたと報じられたことがあり、日本国民が仰天したことがありました。さすがの日本政府も、これを認めれば国民の怒りを買うとあわてふためいたのか、うやむやになったままですが、いったいあの話はどうなったのでしょう。
 国民のお金を使うからには、きちんとした説明をしていただきたいものです。
 それに、米軍再編は日本のために行うわけではなく、アメリカがもっぱら自国の利益をはかるために行うものです。在日米軍も、「アメリカの国益に必要」だから、存在しているわけです。米兵たちも、在韓米軍に対する風当たりが強い韓国はいやがり、歓待してくれる日本での勤務を望んでいるそうです。ですから、決して卑屈になる必要はないと思うのですが、いつまで経っても日米は非占領国と占領軍という関係を脱しきれないようです。それどころか、小泉・安倍政権になってからは、かつて以上に、日本がアメリカに吸収されているように思えてなりません。それが、安倍首相のおっしゃる「美しい国」なのでしょうか。そういえば、中国や韓国ではアメリカのことを「美国」と書くそうですが……。
 そんなことなで、最近は「自主的」という言葉が、「追従的」「従属的」「隷属的」というふうに聞こえてなりません。

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